アバターの世界は実在した——張家界・武陵源 二泊三日の旅
映画『アバター』のハレルヤ山のモデルになったという場所が中国にある——湖南省・武陵源。 その言葉だけを頼りに、成田から二泊三日の弾丸旅行に出かけた。
✈️ 出発と洗礼——中国の「おおらかさ」
成田から上海まで約2時間。中国の航空会社は定時運行率が低いことで知られているが、今回も30分遅れで登場し、45分遅れで上海着。まあそれが文化というものか。
入国審査は想像以上に厳重だった。指紋、虹彩撮影、荷物チェック——ヨーロッパとは別次元の緊張感がある。ライターの持ち込みは禁止、モバイルバッテリーも禁止だ。広大な上海空港内での国内線乗り換えは電車で約10分。そこから湖南省・張家界市まで再び2時間のフライト。到着は夜だった。
張家界市内の夜景。まるで巨大パチンコ店のようなネオンが迎えてくれた
🏔 1日目——宝峰湖、御筆峰、そしてオオサンショウウオ
最初の目的地は宝峰湖。遊覧ボートに乗ると、赤い提灯を揺らしながら岸を離れ、奇岩が湖面に映り込む水墨画のような世界へ滑り込んでいく。「御筆峰(Imperial Writing Brush Peaks)」という名前のとおり、岩の柱が何本も空に向かって突き出ている。
宝峰湖の遊覧ボート。赤い提灯と奇岩が中国らしい世界観を作る
「御筆峰(Imperial Writing Brush Peaks)」の石碑。世界自然遺産の文字も刻まれている
そして衝撃の出会いが。食堂の入口に置かれたプラスチックケースの中に、ぬめりと存在感を放つ生き物——オオサンショウウオ(金斑大鲵) だ。湖南省の特産で、観光地の飲食店でも「本日の食材」として展示されていた。
:::note 食について正直に言うと 湖南省は塩の文化が薄く、素材そのままの味がダイレクトに来る。中国独特の香りと組み合わさり、食事面では正直苦戦した。ビールも日本のものとは別物だ。一方、帰国後に食べたうなぎの味が、これまでの人生で一番うまかった。 :::
🗻 2日目——袁家界・天子山・天門山。これが世界遺産だ
この旅のメインディッシュ。袁家界のトレイルに入ると、高さ数百メートルの石英砂岩の柱が霧の中からにょきにょきと天に向かって伸びている。スケール感が日本の山とはまったく別次元だ。
袁家界の遊歩道。竹林を抜けると突如として石柱の群れが現れる
霞の中に浮かぶ柱状岩群——これがアバターのモデルとなった風景
張家界大峡谷グランドキャニオン・ガラス橋
そして現れたのが張家界大峡谷のガラス橋。長さ430m、高さ300mの谷を繋ぐ世界最長クラスの透明ガラス橋だ。橋の上に立つと、足元に谷底が透けて見える。高所恐怖症でなくても足がすくむ。
張家界大峡谷のガラス橋。橋の先まで観光客が続く。橋幅は約6m
天門山・999段の石段
天門山では有名な「天門洞」——岩山にぽっかり空いた巨大な穴——を下から仰ぎ見る。999段の石段がその穴に向かって一直線に伸び、圧倒的な迫力だった。発見されたのは約60年前で、整備も比較的最近のことだという。
旅で最高の一枚
そして、この旅で最もフォトジェニックな出会いが——
奇岩を背景に、悠然と食事中のニホンザル。この構図はプロでも撮れないかもしれない
🌏 中国という国の二面性
決済と本人認証はキャッシュレス・デジタルで最先端だ。WeChat Pay・Alipayは露店でも当然のように使え、観光地の入場にもマイナンバーカード(居民身份証)が必須。クレジットカードが使えるのはホテルくらいだ。
一方で、水道水は飲めず、トイレの紙も流せない。共産党幹部の車が向かってくれば道路上の全車がストップし、言論には明確な制限がある。帰りのバスが途中で止まった理由が「共産党幹部の車が向かってきたから」だと知ったときは、なんとも言えない気持ちになった。
まとめ
認証と決済以外は昭和のような湖南省——発展途上の生々しさと、世界遺産の圧倒的な自然が同居するこの旅は、改めて日本の「あたりまえ」の豊かさを実感させてくれた。
アバターの世界を肉眼で見たい人には、迷わずおすすめする。
旅の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 旅程 | 二泊三日 |
| アクセス | 成田 → 上海(約2時間)→ 張家界市(約2時間) |
| 決済 | WeChat Pay / Alipay メイン。現金・クレカはほぼ不要 |
| 注意 | ライター・モバイルバッテリー持ち込み禁止 |
| 見どころ | 宝峰湖・袁家界・天子山・天門山・ガラス橋 |
| ベストシーズン | 春(4〜5月)・秋(10〜11月) |